【ロングインタビュー】  僕が「歯科医師」にこだわる理由ー松岡周吾氏

弊社と松岡さんの接点は、2016年10月。新宿の某オフィスにて。
それは冬本番前のまだ暖かな風が吹く、夕暮れ時のことでした。

松岡さんは、パートナーサイトの営業さんからの紹介がきっかけでした。
「現役の研修医でありながら、自身で歯科医師国師対策アプリを開発、ポータルサイトを運営している方がいらっしゃいます。ご興味があれば紹介の場をセッティングさせていただきますが、いかがいたしましょうか?」

私は二つ返事で「そのような方がいらっしゃるのですね!すぐにでもお会いしたいです。ビジネス云々ではなく単純に興味があるので。是非お会いしたいです!」と、即答したことを覚えています。

ご紹介日の当日。
少々時間に遅れ、足早に現れた彼は、ノースフェースのマウンテンパーカーにリュックという、一般的にいるフツーの爽やかな好青年といういでたちで、汗ばんだカラダをクールダウンするように上着を脱ぎながら、早速の興味津々の私の質問攻めに応えてくれていたという、そんな光景が初めての出会いでした。

その後、メッセンジャーを使っての様々なやり取りの中で、当社との連携を模索し現在ではパートナーとして、より歯科業界を盛り上げていくことを目的に相互での取組みを始めるに至っています。そんな私自身、どうしても彼がなぜ6年間という歯学部ライフを過ごす中で日ハムの大谷翔平くんさながらの、歯科医師とベンチャー社長の「二刀流」ならぬ「2足のわらじ」を目指すようになったのか、どうしてもその理由を聞きたくなっていました。

そんな松岡さんの創業の背景・ヒストリーをロングインタビューという形でおまとめする機会をいただきました。

現役歯学部生、研修医の皆さん、ひいては現役歯科医師の皆さん、全ての歯科医療従事者に見て欲しいインタビューです。多様性を求めて活躍のフィールドを開拓されている松岡さんのような方がいらっしゃることで、歯科業界はもっと活性化すると思わずにはいられません。
前置きが長くなりましたが、早速インタビューをご覧いただければと思います。

(聞き手)トーコンマーケティング 代表取締役 荻谷淳

【ロングインタビュー】 僕が「歯科医師」にこだわる理由



ーまずは松岡さんの青年期から歯学部入学までのヒストリーをお聞かせいただけますか。

僕が生まれたのは、千葉県の銚子ってところです。父が代々、もう100年を超えると思うんですけど、自営で水産業を営んでいます。
中学までは銚子にいて、高校進学は木更津にある全寮制高校に行きました。自分で選んどいて言うのも何ですが、携帯・雑誌・テレビ、女の子(笑)とか、規制だらけの学校で、厳しい環境だったんです。そんなこんなでそのとき、唯一PCを使うことだけは許されていまして、それを気にPCにはまり、PCに慣れ親しんで過ごしていました。
歯医者になろうと思ったのは、生まれ育った銚子の市立総合病院が高校3年生のときに経営破綻して、世の中では医療崩壊が取り沙汰されていて・・・。そんな環境から漠然と、医療分野からの地域活性化が出来ないかのかな、と思い始めたのがきっかけだったと思います。最初は医師の方に興味があったんですけど、いろいろな病院を見学する中で、歯科、つまり口腔内から健康づくりをして、その取組みが地域の活性化につなげられればいいなあと思いまして、歯学部に入学することに決めました。

ーお父さまは稼業をされていて、代々歯科業界という家系ではないのですね。稼業を継いで欲しい、継ぎたいというようなことはなかったですか。

はい、親戚も含めいわゆる定型的な家族経営の会社だったんですが、父は僕にどうしても継がせたい、継がなきゃダメということではなかったですね。ちなみに僕は3人兄弟で、下に妹(現在大学4年生)と弟(現在中学2年生)がいます。妹は今アメリカに留学中で、全く医療の道とは関係ないですね。両親は基本的には僕たち兄弟には自由に好きなことをやらせてくれる人ですね。

ー実際ここから歯学部を目指され、鶴見大学に入学されるわけですが、ここはどういった理由で選ばれたのでしょうか。

正直大学は自分の学力実力に応じて、皆さんも選んでいるのでは?という点で言うと、自分のそれ相応の実力の大学が今選んだ大学って言い方になるんですかね。実家からの立地もありましたけど。こんな答えでも問題ないですか?(笑)。

ーその当時は、同様の医療の道に進む方はいらっしゃいましたか。

医学部受験した同期はいたかと思いますが、たぶん誰も受かってないと思います・・・。一般の大学へ進学するのがスタンダードな中で、僕はちょっと異質だったかもしれません。

ーそんな松岡さんですが、その当時は周りからどんな風に見られていましたか。

その頃歯学部人気が特に低迷していて、今はちょっと回復しているんですけど・・・。先ほどもお話した高校は、すごく変わった高校で、そもそも授業とかクラスとかテストとかがないんですよ。全部自習みたいな感じで。ようは個々人の自主性に任せるという究極の自己責任。そんな感じなので当然個人によっての差が出ます。出来る人と出来ない人の差が開くので結構きつかったですね。ただ自身の性格として、元々自分で物事を整理して、組み立てていくこと自体は苦にはならない性格もあり、且つそんな環境だったので、余計そのあたりが磨かれたんだと思います。そんなこんなでいうと周りからはヒョウヒョウとやるヤツに見られていたんじゃないですかね。

ー(歯学部ライフを割愛して恐縮ですが)歯学部生ながら起業しようと思った理由、タイミングをお教えいただけますか。

実は、歯学部に入学する前から歯科ポータルの制作であったり、アプリ開発みたいのはやってまして、だいたい18歳くらいからですかね。
もちろん最初の時点では起業するとか、イメージはおぼろげにあってもリアリティがなかったですね。

ーちなみにどうしてそれを作ろうと思ったんですか。

これも前段で、高校時代PCしかないと言う環境で、そういう環境の中で人格が形成され、そこからもうコンピューターが友達みたいな(笑)。なんか暗いオタクのイメージに聞こえますかね(再笑)。歯学部入学と同時にwebを立ち上げようと。独学でやりました。またなぜ歯科のということで言えば、自分が目指す業界が歯科業界だったので、必然的にそうなったという感じです。
その流れで、アプリを初めて作ったのは歯学部4年生くらいの頃です。これも独学で、最初は「CBT」のアプリを作りました。みんなが使える実用的なものを作りたい一心で。そんな状況ですから全く儲けようとか、お金のことは全然考えてなかったですね。ちなみに大学時代の友達にはアプリを開発してることは言ってません。敢えて言う必要もなかったし、もし言ったとしても、みんな歯医者になるために必死に勉強している中で、理解されないんじゃないかなっていうのもあったりはしましたね。

ー制作者としてのやりがいやモチベーションはどんな時に感じましたか。

そうですね。自身が歯学部生として「あったらいいな」を作っているので、同じ境遇の人たちからのレビューをいただいたときは、本当に役立てていることを実感できて、テンションあがりました。

ーどのタイミングから、今の方向で行こうと決められましたか?

将来的な軸は、大学院に行くということをまず目標に置いていました。そこにアプリ開発などの事業を合わせて行こうと。双方を選択することは排他的な物ではなくって、ポジティブなフィードバックが出来るというメリットがあると感じていたもの大きいです。なので両立はできると思っていました。加えて持論として、アプリはどういう効果を持つのか、どれくらいの人に手にとってもらえているのかということを解りやすく評価してくれるものだけに、それをアプリ開発にフィードバックすることで、アプリから我々歯科医師は何を求められているのか学習することが出来るというのは、非常に得るものが大きいと思っています。複眼的な視点を持ってこそ、この事業を通じて歯科業界に貢献が出来ると考えています。

ー基本ポジティブですよね?

はい、じゃないと出来ないと思います(笑)。

ー今改めて会社の代表として、臨床研修医として何が一番大変ですか?

まあ…お金がないのがいちばん大変なんですが(笑)。ちょっと前までは、結局現場に出ないと臨床をやらなくなるし、歯医者になったのにそこから距離を置く(現役キャリアという選択肢を選ばない)ことに不安を感じたんですけど、今はこの働き方に関して、これから展望や可能性が広がるということに、自分自身期待しているところです。

ー臨床研修医の傍ら、代表として企業活動をすることに周りの反応はいかがですか?

one dentalに関しては、僕も歯科業界にいるので周りからのフィードバックはとても嬉しいです。「いつも使ってます!」とか「これで国家試験に合格できそうです!」とか、男女隔たりなくご意見をいただけます。こういった周りの皆さんの協力もあって活動できていること自体、本当にありがたいなとつくづく感じていますね。

ーこれからのキャリアプランをお教えいただけませんか。

歯科医師国試対策アプリに関しては、より一層ユーザーを募って行く中で、より有益な情報の掲載、使いやすいアプリとして改良を加えていきます。ユーザーに愛されるアプリ作り。これに尽きます。今現在登録ユーザーは約1600人くらいいます。おかげさまでここ最近でぐっと伸びて来ています。2017年度は、国家試験受験者は3000人くらいになるんですかね?ちなみにリアル歯医医師になったユーザーはアプリを消してしまうので、今後はそういったユーザーの皆さんにとっても何か有益な情報をアプリで提供出来ないかと思案中です。あとサイト運営やアプリ開発をしてより実感してきているんですけど、歯学部生を支援する一方、現場の歯科医師が対峙している患者さんの歯に対する知識力のアップの必要性とか、現場に出るといろいろと気付きがあるじゃないですか。あと患者さんとのコミュニケーションに関する悩み、院内における上司だったり、先輩との人間関係構築も必要、もちろん本筋の治療スキルもどんどん上げていかなくちゃいけない…。歯科医師はすごくやることが多いと思うんです。そういう点でも、提供出来ることがたくさんあると思っています。
ちなみにそういった意味で、サイト名のone dentalは、歯科にまつわる色んなものをひとつにまとめたい、ポータルとして提供したいという想いからきてまして、そのネーミングになったんですね。
今、歯科業界向けのポータルサイトがすごく増えているじゃないですか。僕自身は同じようなものをやろうとは考えていなくて、もっと面白いことというか、もっとラフに見られるサイトにしたいんですね。まだ完全に形が描けているわけではないんですが、想いはそういった感じの今までないものを提供出来ればと思っています。その手前でまずは国試に絞ってフォーカスしていこうかと。
このアプリも自分が学校とか仕事とかで考えたことをアプリという形にしています。前に話したように4年生のときに作ったCBTのアプリだったり、5年生の臨床実習生のときは患者教育向けのアプリを作って、その臨床実習の中でこんなアプリがあったら便利だなっていうユーザー視点に、全ては紐づいているんだと思ってます。
あっ、デントプレスさんがどうこうってわけではないので、すみません(笑)。

ー中長期的な視点でこんなふうになったらいいという理想はありますか?

理想は歯科医師としてはずっと大学に残って研究したいなと思ってます。自分のアプリの事業とリンクしていますし他にやっている会社さんもないので、まず自分の手でいろんな使えるアプリを作って行きたいですね。例えば今考えている患者さん向けのシステムは、今の歯科サービスにはないものだと思っているので、そういう分野にも手を広げて行きたいなって思ったりしてますね。事業を大きくするって言うよりはユーザーに喜んでもらって、それが結果事業になればいいなって感じで僕は捉えてますけど。
法人化したからには売り上げ出さないといけないというのは重々承知しているのですが、ビジネス化したのは自分の中でやりたいことがあったからで、そこからはぶらしたくないなと思ってます。ちょっと甘いかも知れませんが最初から無理だと思っていても仕方ないので、やるだけです!

ーでも本質的に業界へのコミットをされていますよね。

ありがとうございます。まだまだですがそう思っていただけると幸いです。イメージとしてはビジネスに壊されるというよりは、プロダクトがあって、そこにドライブされているという感じで進めていければと思ってます。

ーこれからの松岡さんが望んでいらっしゃることがあれば、こちらでお願いします。

やっぱり会社を運営していく上では、今は自分一人なので一緒に働く仲間は欲しいなと思っています。一緒に働くのであれば僕が作ると言ったらただただ同意する方ではなくて、同じくらいの意見を言ってくれる方と働きたいですね。正直そういう方に今まではなかなか出会えなかったです。でもこういった人を見つけることから始まるんでしょうね。がんばります。

ー松岡さんのこれからの益々のご活躍に期待しております!

ありがとうございました。取材するのも大変そうですが、取材で受け答えするのも大変ですね。こちらこそ貴重な経験ありがとうございました。
とにかくやれるだけ頑張ってやってみたいと思います!

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取材協力(語り手)
松岡 周吾 Matsuoka Syugo
株式会社デントアビリティ
代表取締役/歯科医師

鶴見大学歯学部卒業
ポータルサイト one dentalの運営・各種アプリ開発
株式会社デントアビリティを2017年1月創業
http://www.dentability.co.jp/
http://onedental.jp/
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この記事の筆者:デントプレス

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