歯科医師に定年はあるの?求人の年齢上限は何歳くらいまで?

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定年は、自分次第

歯科医師が定年制であるドイツなどとは違い、日本の歯科医師には定年というものがありません。一度、歯科医師資格(免許)を取得できれば、入籍や転籍などの場合以外、書き換える義務や更新期限もないため、年齢に依らず生涯にわたって有効とされる資格です。

歯科医師になるためには、厚生労働省が指定する6年制の歯科大学や大学歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格した後、歯科医籍に登録し、厚生労働大臣より歯科医師免許の発行を受けなければなりません。それからは、実際に歯科医師として就業するために、大学病院などで1年以上臨床研修を受ける必要があります。研修を終えると、大学院に進み、研究や臨床の勉強を続ける医師や、大学病院の歯科に勤務する医師、一般の歯科医院(歯科診療所)に勤務し、どんどん臨床に立ち会って経験を積んでいく医師もいて、研修後の進路は自らが決断するほかありません。同時に、歯科医師は定年制ではないため、年齢上限はなく、いつリタイヤするのも個人の自由であると規定されているのです。

それでは、歯科勤務医として働く場合、何歳に定年を迎えるのでしょうか。勤務医としての就業先は、歯科医院(歯科診療所)や病院をはじめ、福祉施設や研究所、製薬会社、化粧品会社、画像診断センター、歯科メーカーなど多岐にわたりますが、一般的に、定年となる年齢はそれぞれの就業先によって異なり、多くは60〜65歳が上限と規定されているようです。

実際、歯科医師の求人広告などを見てみると、60歳までを正社員、65〜70歳までを非常勤社員として、年齢上限を設定して募集しているケースは少なくありません。非常勤社員の求人とは、フリーランスやパートタイマーのほか、定年後の再雇用を目的とした70歳位までを上限とした歯科医師の募集のことで、指定曜日や指定時間のみ勤務する社員のことです。

特に、定年後のベテラン歯科医の募集は、歯科医院などの雇用者が、定年退職した優秀な歯科医師の豊富な経験やノウハウ、専門的な技術などを提供、還元して欲しいと考えて行う場合がほとんどですが、それ以外にも、新人や若手医師の育成や研修をお願いしたい、繁忙時や人手の足りない時間を補って欲しい、指定曜日のみ専門分野を担当して欲しいなど、さまざまな理由から近年増加、定着してきているようです。

患者の立場を意識するとみえてくる定年適齢期

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平成18年の厚生労働省の統計調査で、歯科医師の数を年代別に比較してみると、40〜49歳が27.8%、50〜59歳が24.8%であり、全体の半数以上もの歯科医師が40〜59歳に集中していました。約10年後に相当する現在、半数以上を占めていた40〜59歳の歯科医師の年齢は必然的に50〜69歳に上がっています。実際に現在、歯科医院などで働く60歳以上の歯科医師の数は全体の20%弱と言われており、勤務医なら定年を迎える時期であるため、開業医であっても定年という文字が頭をよぎる頃かもしれません。

一般的に、歯科医師および患者さんの立場からみても、歯科医師として“脂が乗っている時期”というのは、30歳代後半〜50歳代後半だろうという意見が多く、その時期を過ぎた60歳〜65歳は、勤務医であっても開業医であっても、ひとつのターニングポイントと言えるかもしれませんね。

60歳代以降も臨床の最前線で活躍したいと望むのであれば、一般診療のみならず、義歯やインプラントなど補綴治療のほか、根管治療、歯周病学などの専門技術や得意分野を身につけ、技術を磨いておくことは強みになりそうです。

現在、70歳以降になっても現役で働く歯科医師は、実際の診療は行わず経営面のみ担うことも多いようです。しかし、なかには、日々進歩する医学や治療技術、治療機器などに対して自己研鑽を怠らない熱意ある姿勢が、周囲の歯科医師たちから敬意を集め、後進の良き手本となっているベテラン医師も少なからず活躍しています。

自分の健康と向き合って決める退職時期

専門職であり技術職である歯科医師は、年齢に依らず何歳になっても現役で働くことが認められています。いつまでも初心を忘れず、持っている技術や知識に磨きをかけ、さらに向上しながら、より高度な治療を提供し続けていきたいと、情熱を持ち続ける歯科医師は少なくないでしょう。

しかし、個人差はありますが、60歳代を迎えると、歯科医師として重要な体力や視力、聴力、巧緻性(手先の器用さ)、即断力などに衰えを感じはじめることも多いようです。例えば、勤務中は立ち仕事も多いことから体力面で疲労が取れず、多くの患者さんを診療できなくなる、目がかすんで見えにくい、耳が遠くなって患者さんやスタッフとのコミュニケーションが取りづらい、手元が定まらず治療に支障が生じる、適切な判断が瞬時に下せなくなる等、若い頃は感じることのなかった症状が現れ、診療の妨げになることもあるようです。

ひとりひとりの患者さんが満足、納得のいく治療を実現、提供し、経過を何年先まで見届けられるかと考えた時、自身に適した働き方や定年適齢期というものも、少しずつリアリティを増して見えてくるのかもしれませんね。


この記事の筆者:デントプレス

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