歯学部を卒業。歯科医師以外の選択肢とは?

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歯学部卒業後の就職先とは

一般的に、歯科医師になるためには、厚生労働省が指定する歯科医師養成過程を持つ国公立や私立の歯科大学や大学歯学部(歯科医師養成機関)に6年間就学し、188単位以上を修得する必要があります。
カリキュラムは機関によってさまざまですが、修得科目は歯科科目に留まらず、多岐にわたる分野を学ぶことが多いようです。

というのも、近年はこれまで以上に、口腔疾患と全身疾患は互いに影響しあうことが明らかになってきたため、歯科医師として口腔周辺の知識のみに偏らず、全身について学ぶ必要があるという考え方が主流になってきているからです。
歯科医師養成機関によってカリキュラムの内容や修得時期は異なりますが、一般的に入学1年目では一般教養を学び、2年目から歯科専門科目を本格的に学び始めます。

その後は、口腔解剖学や生理学などの基礎系科目や、口腔外科学や歯科矯正学などの臨床系科目、さらには内科学・外科学などの隣接医学も学びます。
高学年では、知識を問うCBT試験や、臨床的な技能を客観的に問うOSCE試験を受験後、将来、歯科医師として働くための技術の基礎を養うため、実際の診療に参加し臨床実習を行います。

これらは歯学医療を通して、豊かな人間性や幅広い教養を培い、歯科医学・歯科医療の向上や発展に尽力し、貢献できる人材を育成することを目的に設定されています。
卒業後、歯科医師国家試験受験資格を得て、晴れて合格した後は、研修施設である大学病院や歯科医院(歯科診療所)などで1年以上臨床研修を受けることが義務付けられています。

歯学部卒業後の進路について、臨床研修を終えた新米歯科医師の多くが平均3~5年ほど大学や大学院に籍を置き、勤務医として臨床経験を積むケースが多いようです。

その後の就職先は、勤務医として歯科医院や病院、医療施設、保健施設、研究所、製薬会社などで働く歯科医師や、大学院の研究者や大学の教員として活躍する歯科医師もいます。しかし、卒業して5年程が経過すると独立開業する歯科医師の割合が高まり、10年、20年と経験を重ねるにつれ、開業医として活躍する道を志す傾向にあるようです。

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診療に留まらない!歯科医療への期待

一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、歯科医師としての進路は、歯科医院の開業医や勤務医として診療に携わることだけではありません。
歯学部卒業後、高度な専門性を強みに、歯科医師は教育分野や研究分野、公職においても活躍しています。
大学や専門学校などの教員として後進の歯科医師の育成に力を注ぐことや、歯科メーカーの開発部門などで歯科製品の研究・開発や、口腔粘膜や歯周組織などを再生させる歯科再生医療に携わる歯科医師もいます。

さらに、厚生労働省や地方自治体などに勤務する歯科医師は、主に歯科保健に関わる条例や制度をつくることや、日本歯科医師会などとも連携し、国民の口腔内の健康を維持するための活動に取り組んでいます。
また、臨床においても、要介護者の口腔内の健康を維持するため居宅や医療施設を訪問する「訪問歯科」の需要はこれまで以上に高まっています。

歯学部を卒業した先輩方の意見

厚生労働省による統計調査において、近年の歯科医院の数はコンビニの件数より多く、それに比例して歯科医師数も過剰傾向にあることが知られています。
厚生労働省や文部科学省は歯科医師国家試験の難易度を上げ、歯科医師数を抑える取り組みを行っています。

飽和状態である歯科医師のなかには、異業種や異分野に転向したいと考えはじめる方もいるようです。
そういった歯科医師に対し、歯科診療に携わっている現役の先輩歯科医師の意見はさまざまですが、多くの方が異業種への転向はリスクが高いと考えるようです。

しかし、歯科大学や大学歯学部を在学中に歯科医療の道に進むことを迷い始めた学生に対する意見では、すぐに中退し進路変更すべきと考える歯科医師や、転向する方向性を見極められるまでは諦めるべきではないという歯科医師、異業種へ転向するにしても歯科医師免許は取得しておくことを勧める歯科医師など、さまざまな意見があるようです。

歯科医師が活躍する場は実際の臨床現場だけではありません。
もし進路や方向性に迷い始めたら、安易に別の道を探すより「歯科医師としてどのような形で働けるか」と、視点を変えてみることが大切かもしれませんね。


この記事の筆者:デントプレス

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