【プロが指南!労使トラブルのアレコレ】-残業代の計算方法は?

残業代の計算方法は?

【この記事を書いた人】
プロ・ステ-タス社会保険労務士/国際行政書士事務所
代表 五十嵐 博幸(Igarashi Hiroyuki)
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給与については、通常、働いた時間によって計算されることが一般的ですが、単に計算するといっても、様々な決まりがあり、労働基準法で定められています。

【基本給】
基本給(原則、毎月固定的に支払われることが決まっている全ての給与/固定残業代を除く)には最低賃金法によって地域別・産業別に最低限度額が、定められていますので、これを下回る給与設定は違法です。
現行(平成28年10月1日から)は、東京都の最低賃金は、時間額932円です。これは、雇用形態に拘らず、また学生や主婦といった働く方の属性に関係なく適用されます。(但し、試用期間中の者等については、管轄の労働局長の許可を条件として適用除外とすることができます)

【時間外手当】
労働基準法では、原則として1日8時間、週40時を超える部分が時間外労働となり、時間外労働手当として割増賃金の支給対象となります。この時間外労働手当についても労働基準法で最低限度額が規定されています。この金額に満たない場合は労働基準法違反という事になります。

【時間外手当の計算方法】
◆時間外労働手当=1時間当たりの単価 × 時間外労働の時間
*1時間当たりの単価=通常の1時間当たりの賃金 × 1.25以上
*通常の1時間当たりの賃金額=月額給与額 ÷ 月平均所定労働時間

・所定労働時間とは、いわゆる定時で働いた際の労働時間です。個別の労働契約に定められている日々の労働時間を指します。
・月額給与額には、基本給をはじめ各種手当も含まれていますが、下記に示したものは除外して計算することが出来ます。
1)家族手当(扶養家族数に応じて支給されるもの)
2)通勤手当(通勤する費用に応じて支給されるもの)
3)別居手当(いわゆる単身赴任手当)
4)子女教育手当(扶養手当に相当するもの)
5)住宅手当(一律ではなく、住宅に要する費用に応じて支給されるもの)
6)臨時に支払われた賃金(支給事由の発生が不確定、且非常に稀に発生するもの)
7)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与・ボーナス)
・月平均所定労働時間は、年間労働日 × 1日の所定労働時間 ÷ 12で計算します。年間労働日は、一般的には暦に従って実際の労働日数をカウントします。

◆端数処理
通常の1時間当たりの賃金額、割増賃金額に円未満の端数が生じた場合には、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げることが出来ます。端数を常に切り捨てることは禁止です。

◆支給単位
1か月ごとの支給単位は「1時間」「30分」「1分」と設定することが出来ます。
但し、1日ごとの計算単位は「1分毎」とする必要があり「1時間」「30分」「15分」とすることが出来ません。
「1時間単位」の場合には1か月間の時間外労働等に1時間未満の端数が生じた場合には、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げることが出来ます。また「30分単位」の場合には1か月間の時間外労働等に30未満の端数が生じた場合には15分未満は、切り捨て、15分以上は30分に切り上げる事ができます。

例①
一か月間の時間外労働の時間が、18時間40分の場合
1時間単位 ⇒ 19時間
30分単位 ⇒ 18時間30分

例②
一か月間の時間外労働の時間が、18時間20分の場合
1時間単位 ⇒ 18時間
30分単位 ⇒ 18時間30分

◆特別割増率
平成22年4月1日より月60時間を超える時間外労働の割増率は、50%以上となっています。月45~60時間までの時間外労働の割り増しり率については、25%を超える率とするよう努める(努力義務)こととされました。ただし中小企業については平成31年3月31日までは猶予期間とされています。

資本金または出資総額      常時使用する労働者数
小売業        5,000万円以下       50人以下
サービス業         5,000万円以下       100人以下
卸売業        1億円以下           100人以下
上記以外       3億円以下           300人以下

【法定休日労働手当】
法定休日は原則、毎週1日の休日または、4週で4日以上の休日を与えなければならないと定められています。その法定休日に働いた場合には、割り増しされた賃金を支払うことが義務付けられています。
法定休日労働手当についても労働基準法で最低限度額が定められており、割増率は3割5分以上です。1時間当たりの単価の具体的な計算方法は、時間外労働手当と同様です。

週休2日の歯科医院で水曜日と日曜日が休日だとした場合、2日とも労働したときでも、労働基準法上は、休日労働手当として割増賃金の対象となるのは、法定休日の1日(例えば日曜日と規定した場合は日曜日)だけです。法定休日でないもう一方の1日(この場合水曜日)については、労働時間が週40時間を超えていれば、その部分は、時間外労働として、割増賃金の対象となります。

◆法定休日労働手当       = 1時間当たりの単価 × 法定休日労働の時間
*1時間当たりの単価      = 通常の1時間当たりの賃金 × 1.35以上
*通常の1時間当たりの賃金額  = 月額給与額 ÷ 月平均所定労働時間

【深夜労働手当】
深夜労働手当(原則として午後10時から午前5時までの深夜の時間帯の労働に対する手当)についても、も労働基準法で最低限度額が定められており割増率は2割5分以上です。1時間当たりの単価の具体的な計算方法は、時間外労働手当と同様です。

◆深夜労働手当          = 1時間当たりの単価 × 深夜労働の時間
*1時間当たりの単価       = 通常の1時間当たりの賃金 × 1.25以上
*通常の1時間当たりの賃金額   = 月額給与額 ÷ 月平均所定労働時間

【重複の場合】
時間外労働(1か月45時間までの部分)と深夜労働が重複した場合(時間外深夜労働)には、割増率は5割以上となります。また、休日労働と深夜労働が重複した場合(休日深夜労働)には割増率は6割以上となります。

次回は、「セクハラ・パワハラの定義とは?」と題して、お送りいたします。

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代表 五十嵐 博幸(Igarashi Hiroyuki)
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この記事の筆者:デントプレス

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