【インタビュー】医療法人社団光志会 奥原歯科医院(埼玉県 所沢市)歯科医師 奥原 利樹院長

研修医時代の出会いが自分を大きく変えた!患者さんにとことん「寄り添う」姿勢が地域の方やスタッフに愛される医院運営に繋がっている院長  奥原 利樹先生に聞く!

 

◆プロフィールを教えてください。
平成元年 広島大学歯学部卒業後、広島大学病院で研修医として2年間勤務
平成4年   埼玉県所沢市の開業医に4年勤務
平成8年   所沢市にて奥原歯科医院開業
平成14年 医療法人社団光志会 奥原歯科医院へ法人化
平成19年 自社ビルへ移転、現在に至る

 

◆奥原先生の診療を拝見していると、非常に患者さんの話を熱心に聞かれていると感じます。どういったことを診療において大切にされているのですか?
そうですね。患者さんの想いにどこまで伴走し、寄り添うことが出来るのか、私はこのテーマがこれからの歯科医師には必要なことだと考えています。歯科医師歴28年目、開業してからは21年目ですが、初めてこのことについて考えるきっかけを頂いたのは、大学病院での研修医時代、教科書的には抜歯以外の処置を行うことが出来ない患者さんと出会ったときです。私は、その患者さんの口の中を見たとき、「一刻も早く、このグラグラしている歯を抜いて、よく噛める入れ歯をつくってあげなくては」と考えました。しかし、そのご高齢の男性は「何ヵ月かかっても良いから、とにかくこの歯を残してください」と私に懇願しました。私は最初驚きましたが、その患者さんの熱心な訴えに、数ヵ月、そのグラグラの1本の歯と未熟ながらも真剣に向き合いました。ある日、通院してきたその患者さんが、大事そうに真っ白なハンカチに包んだものを開いて見せてくれました。それは例のグラグラと残っていた歯でした。その患者さんは、満面の笑みを浮かべて「先生、ここまで歯を見守ってくれて天命をまっとうできたことに感謝しています。本当にありがとうございました」と仰ったのです。この経験は、私の歯科医師としての考え方、姿勢を変えるほど衝撃的な出来事でした。一本一本の歯には患者さんの想いが詰まっています。常に患者さんの人生と関わってきた身体の一部であり、オーバーかもしれませんが「歯=患者さんの人生そのもの」なんだと私は考えています。そう考えたら決しておろそかにはできませんし、それを扱う歯科医師の仕事はとても意義深いものです。私は幸運にも研修医時代にそのことに気づくことができ、患者さんの人生に歯科医師という立場でとことん伴走していこう!と考えました。

 

 

◆具体的に日々の診療ではどのようなことをされていますか?
歯科治療では非常に長期的に患者さんの経過を追わなければならないケースがあります。または長期的に追うのか、即時的な治療で終わらすのか選択しなければならない時もあります。例えば抜歯すれば治療としては終わるけれども、患者さんはまだ抜きたくないという、まさに私が研修医時代に経験したシチュエーションです。歯科医院の多くはゴールに向かって最短距離の治療を選択するかもしれません。しかし、まだどうしても抜きたくないという患者さんがいた場合、「待つ医院」と「待たない医院」があるとすると当院はとことん前者です。患者さんに寄り添ってたとえ何年かかったとしても、また結果的には同じゴールにたどり着くとしても患者さんの満足が得られれば、本当に心から感謝していただけます。また、初診時のコミュニケーションでラポール形成ができるという方も多いですが、コミュニケーションはそんなに簡単なものではなく、何度もお話ししているうちに、徐々に本音で話をしてくれるようになるものです。その段階にいかなければ真の信頼関係ができたとはいえないと考えています。歯科医師というよりカウンセラーに近いかもしれませんね(笑)。皆が皆こうでなくてはならない!とは思いませんが、時にはこんな非効率的な歯科医師がいてもいいですよね。

 

◆スタッフの皆さんに対してどのようなことを考えていらっしゃいますか?
私には自分の中で「スタッフ育成の5カ条」というものがあります。それは「一度や二度の失敗は責めない」「成長の速度を比べない」「同期をつくって切磋琢磨してもらう」「何かトラブルがあった時は院長が全責任を持つ」「とことん人を信じる」ということです。最終的には「人を信じる気持ち」=「愛」がなければ、決して人を育てることはできません。それがスタッフからの信頼にも繋がっていくと思っています。患者さんに伴走し続けるのと同様にスタッフにも伴走し続けます。私の歯科医院に勤務するということは各スタッフの人生にも私が大きく関わっているということだからです。幸運にも私の想いに共感し、同じ志で働いてくれている大勢の仲間に恵まれました。だからこそ私は彼らにベストな教育と経験、きっかけを与え、一つのチームとなり大好きなこの街、小手指で患者さんにより良い診療を届けたいと思っています。最近では、若手の先生にも訪問診療を積極的に経験してもらっています。訪問診療では、患者さんは複数の疾患を持った方ばかりです。口を思うように開けられない患者さんもいらっしゃいますし、私たちがしてあげられることも限られています。その中で、100%患者さんやご家族に寄り添い、患者さんの想いを十分に理解しできる限りのことを行う、この経験は患者さんへの共感力の強化や診療の幅を広げることに絶対に役立つと信じています。往診と外来の両方を知って、それぞれの現場で学んだことをもう一方の現場で活かしてほしいと考えています。

 

 

◆最後に若手歯科医師にメッセージをお願いします。
昨今では歯科医師過剰と言われており、先行きが不透明だという話をよく耳にします。しかし私はそんなことはないと考えています。どこの業界も修業期間はつらいものです。特に技術職である歯科医師には、ベースとして確かな技術が必要です。どんなに患者さんへ優しい声掛けをしても、患者さんの痛みをとることが出来なければ本末転倒です。山登りと一緒で、最初は山を登るのはきついし、霧がかかっていたりすると、自分自身がどこにいるのかも分からず不安でたまりません。しかし、ある高さまで登るとぱっと視界が開け、ステージが一つ上がる瞬間があります。そこからは様々なことがクリアになり、同じ志を持った仲間が集まってきます。まずは小さな成功体験をコツコツ積み重ね、一つひとつ自信をつけていくしかないのです。最初はつらいことの方が多いと感じるかもしれませんが、いくつか山を登り続けていると、ある日ふと同じ経験を乗り越えた仲間の存在に気づいたり、歯科医療への新たな価値観を客観的に見れたり、この仕事にやりがいを感じたりすると思います。新人の頃は歯の治療だけでなく、患者さんとの接し方だったり、多くのことを学ばないといけないとは思いますが、決して結果を急ぐことはありません。日々悩みながら、苦しみながら現実から逃げずに、たとえ小さな歩幅でも歩み続ければ、いつか必ず評価される日が来ます。その過程で、患者さんの本当の悩みに気づいたり、患者さんのことをすごく大切に想うことができたり、人としても必ず成長出来ます。決して焦らず、人と比べず一歩一歩自分の歩幅で歩んでほしいと思います。私も歯科医師人生28年、良い事も悪い事もたくさん経験しましたが、無駄なことは一つもありませんでした。皆さんにも様々な経験を経て「この仕事が好きだ!」と感じていただけたらと思います。

 

 

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医療法人社団光志会 奥原歯科医院
〒359-1141
埼玉県所沢市小手指町1-30-10
TEL:04-2921-1036
HP:http://www.koushikai17.or.jp/
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この記事の筆者:デントプレス

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